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交通事故にあったとき、何をどのように対応すればいいのでしょうか?
今回は、交通事故の被害者がまず最初にやるべき対応、そして弁護士に相談することのメリットなどについてまとめてみました。

交通事故解決のおおまかな流れ

交通事故は一生に何度もあうものではないので、被害にあった方は不安でいっぱいになるでしょう。
なぜなら、大半の人は被害にあった場合の対応・手続がどのように進んでゆくのかがわからないからです。
そこで、交通事故発生から対応、解決までのおおまかな流れを図にまとめました。

交通事故による人身事故の解決までの流れ

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事故発生から治療の開始、症状固定、自賠責後遺障害等級の認定、弁護士への相談、保険会社と対応、示談交渉など、解決までの流れを見ると途方もないような気持になる方もいると思いますが、何事も最初の対応が肝心です。

そこで次に、ケガした場合を例として交通事故の被害者がまず最初にやるべきことを解説します。

 

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交通事故の被害者が最初にやるべき7つの鉄則

突然の事故では、被害者は気が動転してしまい冷静な判断をするのは難しいものです。
しかし、交通事故も最初が肝心です。
なぜなら、交通事故後の対応ミスはご本人やご家族、弁護士がいくら奮闘しても、あとで取り返すことができないからです。
正しい知識を知っていれば、事故後はスムーズに間違いのない対応ができるはずです。
被害者が不利にならないために、まず最初にやるべき行動は7つあります。
自分のケガの状況を確認し、道路上での安全を確保したら、以下のことをしてください。

対応の鉄則①:加害者の確認

まず最初に、加害者の「住所」、「氏名」、「連絡先」を確認しましょう。
嘘をいっている可能性もあるので免許証を提示してもらい、しっかり確認しメモをとります。
名刺を持っていればもらっておいた方がいいでしょう。
名刺を持っていない場合でも、勤務先の会社名や連絡先、電話番号は確認しておくべきです。
従業員が勤務中に自動車事故を起こした場合は、雇用主も損害賠償責任を負う場合があるからです。
また、車検証に記載してある加害車両のナンバーの確認及び加害車両の保有者も確認しておいてください。
「自動車損害賠償保障法」により、運転者だけでなく、保有者も損害賠償責任を負うからです。

対応の鉄則②:警察への連絡

次に大切なのが警察に連絡することです。
警察に連絡しないと、事故の手続に必要な「交通事故証明書」が作成されません。
交通事故証明書がないと、保険金の請求もできないのです。
また、ケガをしたときは、「人身事故」扱いにしてもらうことが必要です。
このとき、人身事故扱いにしてもらっていないと、あとで事故状況を検証した「実況見分調書」が取れなくなってしまい¬ます。

対応の鉄則③:事故状況と加害者の言い分の確認

事故の直後は加害者が過失を認めていたとしても、あとで言い分をひっくり返すことがあります。
そのため、現場では「どういう事故だったのか」、「どちらが悪かったのか」、「何が原因だったのか」ということを確認しておき、警察が来たら事故状況を話してください。
携帯電話やスマートフォンの録音機能を使うと便利です。

また、事故が起きた場所の確認も大切です。
たとえば、交差点のどの位置での事故だったのかなど、あとで争いになることがあります。
自動車が止まっている位置や損傷の程度などの現場の状況を、携帯電話やスマートフォンで撮影しておくと、あとで大きな証拠になります。
なお、救急搬送されてその場での状況説明ができない場合は、なるべく早く被害者立会の実況見分調書を作成してもらうように申し出た方がいいです。
加害者との言い分が異なることがあるからです。

対応の鉄則④:目撃者の確認

目撃者がいる場合、「氏名」、「住所」、「連絡先」などを確認して、協力をお願いしておきましょう。
加害者は、事故直後は責任を認めていても、あとになって異なる主張をしてくることがあります。
そうした場合、目撃者の証言は有効な材料になってきます。

対応の鉄則⑤:加害者が加入している自賠責¬保険と任意保険の確認

「自賠責保険」は、自動車損害賠償保障法に基づいて必ず加入しなければならない強制保険です。
これは人身事故による損害の保障を目的としているもので、保障内容は最低限の保障になっています。
「任意保険」は、ドライバーが任意で加入する保険です。
交通事故で被害を受けた場合、通常、自賠責保険の保障だけでは損害賠償金を全額保証することは難しいため、これを補うために任意保険に加入することになります。

また、治療費や慰謝料などを含めた損害賠償金は、加害者が加入している保険会社が支払うことになるので、保険会社名や保険の証明書番号などもメモしておきましょう。
なお、事故後の対応は加害者本人ではなく、加害者が加入している任意保険会社が行うことが多いです。
ですから、事故後には加害者には保険会社に連絡をしてもらうようにしてください。

動画解説 「自賠責保険と任意保険の関係は?」

対応の鉄則⑥:自分が加入している保険会社への連絡

自分が加入している保険の内容を確認して、保険会社に連絡をしましょう。
「人身傷害補償特約」や「弁護士費用特約」、「搭乗者傷害特約」などは交通事故被害を受けたときに使うことができる場合があります。
特に、加害者が保険に入っていない場合などは、自分の保険(無保険者補償特約)を使うことになります。
また、事故後の対応、手続について何をどうすればいいのか、わからないことは教えてもらえると思います。
なお、見落としがちですが同居の家族や、独身の場合は実家の両親の保険内容も確認しましょう。
自分の保険以外にも使用できる特約がある場合があります。

動画解説 「交通事故の被害者が自分の保険も確認すべき理由」

対応の鉄則⑦病院に行く

ケガをした、もしくはそのおそれがある場合は必ず病院に行ってください。
事故直後は動揺していたり、興奮状態のために体の痛みに気づかないことがあります。
ところが、むち打ちのように数日後に症状が現れるものもあります。
すると、事故後すぐに病院に行かなかったばかりに、あとで出た痛みと事故との因果関係が認められず、争いが起こるケースがあります。
交通事故で不利にならないためには、少しでも体の変調を感じたら病院に行ってください。

動画解説 「交通事故の被害に遭ったとき、すぐやるべきこととは?」

以上が、交通事故にあったときに被害者が行うべき7つの鉄則です。

交通事故に遭ったときにやってはいけない対応

ここまで、交通事故のおおまかな流れから、被害者がまず最初にやるべきことを解説してきました。
では次に、被害者がやってはいけないことについて解説していきます。

交通事故は初めての経験でよくわからない、突然の事故で気が動転していた、その後の手続きについて簡単に考えてしまっていたなど理由で、あとあと損害賠償請求のときなどで被害者が不利になってしまうケースがあります。
くれぐれも注意してください。

警察への対応で適当な証言をしてはいけない

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事故後の警察への状況説明の際、自分の記憶とは違うことを適当に言ってしまうと、取り返しのつかないことになるかもしれません。
なぜでしょうか?

交通事故が発生して警察に連絡すると、現場に警察官がやって来ます。
すると、交通整理と事故状況の捜査が始まります。
人身事故の場合、警察は現場状況を確認したら加害者、被害者双方から話を聞いて「実況見分調書」という書類を作成します。
この実況見分調書は、あとあと、加害者と被害者の過失割合を決めたり、示談や裁判で参考にされる重要な書類なのですが、じつは一度作成されるとあとで訂正するのが難しいのです。
警察官は事故現場を目撃したわけではないので、ある程度の予測のもとに質問をしてくることがあります。
「ここでは、こういう状況だったのではないですか?」というように答えを誘導してしまうことがあるのです。
このとき、被害者の方が事故直後で動揺していたり、「あとで訂正すればいいか」という軽い気持ちで警察官の誘導にのってしまうと大変です。
実況見分調書は、あとから訂正されることはほぼないわけですから、後々に裁判になった場合、弁護士でも状況を覆すことは難しくなってきます。このように、自分の間違った証言のために自らを不利な状況に追い詰めてしまうこともあるのです。
警察官から事故の状況について聞かれたときに、自分の記憶と違うことを絶対に認めてはいけません。
実況見分では、ちょっとでも違うと思ったら、絶対にゆずらず毅然とした態度で対応し、証言することが大切なのです。

 

ケガの治療の通院は途中で止めてはいけない

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事故で負ったケガの治療のために通院している方で、こんな経験はありませんか?
少しよくなったからといって、通院を止めてしまった…
仕事が忙しいからという理由で通院の間を空けてしまった…
これらはNG行為です。

通院を止めてしまったり、間を空けてしまうと、あとから体のどこかが痛んだり、体調が悪くなっても交通事故との因果関係を認められないことがよくあります。
本当に交通事故が原因なのか、それ以外のことが原因なのか、医学的に証明できなくなってしまうのです。
必ず、交通事故の直後には医師の診断を受け、主治医の指示に従って一定期間、通院するようにしてください。
なお、通院中に何かしらの変化があったときには、些細なことでも医師に相談して判断をあおいでください。
そうした変化がカルテに記載され、後日、客観的な証拠となるからです。

治療費を使いすぎてはいけない

交通事故でケガを負った人が、よく勘違いしてしまうことに治療費を自由に使っていいという思い込みがあります。
あとから保険会社が損害賠償金を払ってくれるのだから、治療費は全部タダだと思ってしまうのでしょう。

たとえば、入院したときに個室を利用する、公共交通機関が使える状態なのにタクシーを利用する、健康保険外の治療をする、などが多いケースです。
しかし、損害賠償では、必要かつ相当な金額しか認められないのが基本です。
被害者が悪いわけではないのに、かかってしまった過剰診療や高額診療でさえ認められないケースがあるのですから注意が必要です。

また、医療機関から「交通事故では健康保険は使えない」と言われて自由診療を受けてしまうケースがありますが、これは明らかに間違いですから注意してください。
医療機関は、自由診療の方が高額な診療報酬を受けることができるため、そのような説明を行っているだけです。
ですから、被害者が治療費を抑えるために、自由診療ではなく「健康保険を使うべき」というのは覚えておいてください。
というのも、「過失相殺」があとから認められることがあるからです。

過失相殺とは、簡単にいえば、被害者の方にも事故を起こす原因があったと判断され、その過失が認められると損害賠償額から過失分の金額が引かれてしまうことです。
損害賠償額が多くなればなるほど、過失分として差し引かれる金額が多くなってしまいます。
あとから示談書の項目を見て、びっくりすることのないようにしてください。

なお、治療のときに使用した交通費や雑費などの領収書は、すべて残しておくことも忘れないでください。
今後の保険会社との示談交渉の際に、口頭やメモで「これだけ費用がかかった」といくら主張しても証拠がなければ認められない可能性もあるからです。

動画解説 「交通事故における被害者側の過失とは?」

<保険会社とすぐに示談してはいけない>
ケガの治療が終了すると、加害者側の保険会社と損害賠償についての示談が始まります。
ここで注意しなければいけないのは、保険会社の担当者がよい人だからといって、賠償金額もよいとは限らない、ということです。

相手は保険のプロですから、誠意あふれる対応で、「がんばって当社の最高の金額までもってきました」などと言うことがあります。
そこで、「こんなに一生懸命がんばって対応してくれたのだから」とか、「大手の保険会社が提示した金額なのだから間違いはないだろう」と考える方もいるでしょう。
しかし、じつは保険会社の支払い基準と弁護士基準は別物で、両者の間には大きな差があることが少なくありません。

ここで示談してしまって、後日、弁護士に示談書を見せたところ、
「今回のようなケースでは、この賠償金額では明らかに相場より少ない金額です」
などと言われてしまうこともあります。

ですから、保険会社の担当者から提示された金額で、すぐに示談してはいけません。
示談の前に、まずは弁護士などの専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。

もちろん、すべてのケースで金額が上がるわけではありませんが、弁護士のアドバイスによって、極端な場合、先方が提示した金額の10倍以上になるということもあるのですから。

以上、交通事故にあってしまったときに被害者が、まず最初にやるべきことと、やってはいけないことを解説しました。

普段、他人事として見てしまいがちな交通事故ですが、たとえ自分が起こさなくても巻き込まれる可能性がある、ということを意識しておくべきです。そのうえで、交通事故の知識を身につけ弁護士への相談も検討しながら、万が一に備えることをおすすめします。

なお、前出の「自動車による人身事故の解決までの流れ」の図でも紹介しましたが、この後、交通事故の被害者がやらなければいけない手続きはまだあります。

ここでは簡単に解説します。

被害者がケガを負った場合の対応

◆被害者がケガをした場合は入院・通院をしなければいけませんが、ここでは「症状固定」というものがあります。
症状固定とは、治療の甲斐もなく、これ以上は治療の効果が見込めない、つまりケガの回復が見込めないと医師から判断されることです。

詳しい解説はこちら↓
交通事故の治療における症状固定とは?

◆症状固定の後、後遺障害が残ってしまった場合は、自賠責後遺障害等級認定を受けることになります。
ここで、ご自身の後遺障害等級が決定したら、これをもとに加害者側の保険会社と慰謝料などの損害賠償金額について示談交渉していくことになります。
なお、認定された後遺障害等級に不満がある場合は、「異議申立」をすることができます。

詳しい解説はこちら↓
交通事故における後遺障害等級とは?
交通事故の後遺障害等級における異議申立とは?

「示談交渉」では、加害者側の保険会社の担当者と交渉を進めていくことになりますが、提示される金額は大抵の場合、被害者が手にすることができる本当の金額よりも低いことが通常です。
ですから、交渉の際は法律のプロである弁護士に相談することをお勧めします
なぜなら、相手は保険のプロですから被害者1人ではとても太刀打ちできないからです。

なお、示談交渉が決裂した場合には、被害者は訴訟を提起することができますが、その際も弁護士は強い味方になってくれます。

詳しい解説はこちら↓
交通事故における示談について

被害者が死亡した場合の対応

被害者が死亡した場合、葬儀が行なわれますが示談交渉はここでは行なわれません。
通常は四十九日が過ぎてから、遺族と加害者側の保険会社との間で示談交渉が進められていきます。

◆死亡事故の場合、示談交渉の際に気をつけなければいけないことのひとつに加害者の「刑事事件」があります。
加害者は刑事事件として立件され、処罰の対象となり、裁判が行われる可能性があるわけですが、刑が確定される前に損害賠償金の示談をしてしまうと、加害者の量刑が軽くなってしまう場合があるのです。

詳しい解説はこちら↓
交通事故の加害者が負う3つの責任とは?
交通事故の被害者が刑事裁判に参加・関与できる被害者参加制度

◆示談交渉の流れについては、被害者がケガをした場合と概ね同じですが、損害賠償項目に違いがあったり、交通事故の状況を知っている被害者が亡くなっているために交渉において証言できないといった難しさもあります。
ここでもやはり、交渉や裁判の際は法律のプロである弁護士に相談することを検討してみてください。

詳しい解説はこちら↓
交通事故で被害者が死亡した場合に加害者に請求できる損害賠償の項目とは?

今は、無料で相談できる弁護士事務所が多くありますので、相談だけでもしてみることをおすすめします。

交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点|交通事故弁護士SOS

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