物損に対する慰謝料は、原則として認められません。
慰謝料は交通事故により被った肉体的・精神的な苦痛を緩和するために支払われる金銭ですので、自動車が傷つけられたとしても、修理や買換えによって損害を回復することができるため、それによって精神的な苦痛も回復できると考えられるためです。

したがって、愛車に傷をつけられたことに対する慰謝料は認められません。
裁判例でも、メルセデス・ベンツの車両損害に対する慰謝料について、被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情がなければ認められないとしています。(大阪地裁平成1年3月24日判決)

被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情がある場合として、物損に対する慰謝料が認められた裁判例をピックアップします。

・トラックが民家に衝突し、家屋と庭に損害が生じた事案について、慰謝料50万円を認めたもの。(岡山地裁平成8年9月19日判決)

・霊園の墓石等に衝突し、墓石の倒壊により骨壺が露出する等した事案について、慰謝料10万円を認めたもの。(大阪地裁平成12年10月12日判決)

・被害者が制作した陶芸作品が損壊した事案について、慰謝料100万円を認めたもの。(東京地裁平成15年7月28日判決)

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