交通事故で死亡した場合に、請求できる損害賠償額の主な項目は以下のとおりです。

①葬儀費

②死亡逸失利益

③慰謝料

④弁護士費用(裁判をした場合)

 

上記①~④の他にも、治療の後に死亡したような場合は、実際にかかった治療費、付添看護費、通院交通費等を請求することができます。また、損害賠償を請求するために必要となる診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書等を取得するためにかかった費用も、損害賠償関係費として請求できます。

では、パートに働きに出ている兼業主婦の妻(30歳)が交通事故で死亡した場合の損害賠償額がいくらになるのかを具体的にみていきましょう。

弁護士が依頼を受けて交渉や裁判を行う場合、損害賠償額を算定するためには、日弁連交通事故相談センターが出している書籍「民事交通事故訴訟損害賠償算定基準」(通称「赤い本」と言います)を使用しますが、この赤い本に書かれている基準を「裁判基準」といいます。

以下の金額は裁判基準によりますが、通常、示談の段階では、保険会社は裁判基準よりも低い金額を提示してくる場合がほとんどですので、注意が必要です。

①葬儀費

原則150万円で、実際の費用が150万円を下回る場合は、実際に支出した額となります。

②死亡逸失利益

死亡逸失利益は下記の式により算定されます。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

基礎収入とは、交通事故で死亡しなければ、将来労働により得られたであろう収入をいいます。

生活費控除とは、生きていればかかったであろう生活費分を、基礎収入から差し引くことです。生活費控除率の目安は、被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合40%、一家の支柱で被扶養者2人以上の場合30%、女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合30%、男性(独身、幼児等含む)の場合50%となっています。

就労可能年数は、原則として67歳までで算定します。ただし、職種、地位、能力等によって、67歳を過ぎても就労することが可能であったと考えられる事情があるような場合には、67歳を超えた分についても認められる場合もあります。

ライプニッツ係数とは、将来受け取るはずであった収入を損害賠償額として前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことをいいます。

主婦の場合、専業主婦のように実際の収入はない場合でも、家事労働を行っていますので、逸失利益は認められます。

基礎収入については、パートで働きに出ている兼業主婦の場合は、実際の収入が女性労働者の全年齢平均賃金以上のときには実際の収入とし、平均賃金より低い場合には、平均賃金を基礎とします。

今回のケースは、パート収入が月10万円、年収は120万円ですので、平成23年の女性労働者の全年齢平均賃金3,559,000円より実際の収入が低いため、平均賃金を基礎収入とします。

生活費控除率は30%とします。

3,559,000円(賃金センサス平成23年女性学歴計全年齢平均賃金)×(1-0.3)×16.7113(ライプニッツ係数)

=41,632,861円

 

③慰謝料

慰謝料は、被害者が一家の支柱の場合は2800万円、母親・配偶者の場合は2400万

円、その他(子供、成人独身者、高齢者等)の場合は2000万円~2200万円が相場

です。

今回の被害者は配偶者ですので、慰謝料は2400万円とします。

近親者も自分固有の慰謝料を請求できます。

④弁護士費用

弁護士に依頼して裁判で損害賠償を請求した場合、弁護士費用として請求認容額の10%

程度を請求することができます。この金額は実際の弁護士費用とは無関係です。

 

上述した請求額は、

1,500,000円(葬儀費)+41,632,861(死亡逸失利益)円+24,0

00,000円(慰謝料)

=67,132,861円

となりますので、弁護士費用は67,132,861円の10%の6,713,286円

となります。

 

以上から、パートに働きに出ている兼業主婦の妻(30歳、パート収入月10万円)が交通事故で死亡した場合の損害賠償額の合計は、

 

1,500,000円(葬儀費)+41,632,861(死亡逸失利益)円+24,0

00,000円(慰謝料)+6,713,286円(弁護士費用)

=73,846,147円

 

となります。

 

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